理学研究科附属サイエンス連携探索センターは株式会社日本総合研究所 創発戦略センターシニアスペシャリスト 村上芽さんをお招きし、理学研究科SACRA連携講演会「理学とSDGs」を理学研究科6号館南棟401講義室で開催しました。自然の摂理を解き明かそうとする理学研究であっても社会へもたらす影響について無関心ではすまされないのではないか、という思いからの企画で、助教から教授まで約100名の教員が参加して熱心に聴講しました。

SDGsは2015年9月25日第70回国連総会で、全会一致で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されたものであること、そのアジェンダの14章「直面する課題」の記載を通して先進国を含め世界全体が何に危機感を抱いているのかが説明されました。SDGsは17のゴール、169のターゲット、248の指標(一部重複)から構成されていますが、立場の異なる国々や地域の全会一致の賛同を得るために随所に工夫の跡があることが紹介されました。さらに17のゴールは広範囲な分野に及んでいますが、お互い無関係ではないことが具体的な例を示して説明され、SDGsの奥深さに気づかされました。

次に、SDGsの中心にある持続可能な開発には、価値判断軸および「持続」の意味する時間軸が異なる立場の人が議論して調整することが必須であること、長い時間軸の場合、現時点で見える指標だけでは不十分であることが説明されました。

最後に、SDGsを実行するのは、国際機関や各国政府だけではなく、自治体や企業であり、それらを動かすのは最終的には一人ひとりであること、22世紀を生きる人が既に生まれていることに思いをいたし、当事者意識をもって各人が行動することが重要と締めくくられました。

自然の摂理を解き明かす理学ならではの時間軸、価値判断軸で持続可能な開発に向けた活動に関わる意義を考えさせられる講演でした。

(文責:SACRA 柏﨑安男)

画像
「理学とSDGs」講師村上芽氏

講師 村上 芽氏

画像
「理学とSDGs」講演会の様子

講演会の様子